撮りっきりコニカ超Miniフラッシュなしタイプ(絞り改造版)


(性能)


 1997年4月頃にコニカが販売したレンズ付きフィルムです。かなり前の商品なので細かな仕様はメーカーのサイトを見ても分かりません。しかし、購入したときの自分のメモから、おそらく焦点距離は30mmぐらい、シャッタースピードは1/100秒くらい、絞りはF9.5程度ではないかと思われます。
 このカメラの特徴は、そのサイズと重さにあります。大きさは86.3mm x 53mm x 33mm(最薄部20mm)くらいで、普通の名刺よりも小さく、今の最小コンデジ程度のサイズです。また、電池がないこともあり、重さはなんと51g程度しかありません。これは現在の最軽量のデジカメの半分くらいです。

撮りっきりコニカ超Miniその1

撮りっきりコニカ超Miniその2

  初めて店頭で見たとき、その小ささと軽さに衝撃を受けました。普通の35mmフィルムだけでも20gくらいはありますから、まさに「フィルムにレンズとシャッターをつけただけ」の製品です。これくらい軽ければ、いつでも持ち歩いて、これぞという時にサッと取り出してすぐに撮影できます。また、風景を撮ることが多い自分にとって、この程度の広角レンズは理想的です。


(分解と改造)


  そこで、とりあえず2つ買って試し撮りをしました。出来上がった写真や被写界深度の計算式から考えて、このカメラの被写界深度は1mから3mぐらいに設定されているようでした。これでは、残念ながら、遠景をとることが多い自分にとっては使い物になりません。そこで、絞りの部分を改造して、F20からF30程度にしぼることにしました。絞りをきつくすれば、近景から遠景まできっちりとピントのあった写真を撮ることができることができるにちがいありません。
 改造の仕方は簡単です。カメラの前部分をあけ、レンズカバーとレンズをそっと外して、レンズと本体の間に手製の絞り板を挟むだけです。絞り板は、缶コーヒーの極薄のアルミ版から直径数ミリ程度の小さな円盤をはさみで切り出して、その中心に千枚通しで直径1.1mm程度の円い穴を少しずつあけていきます。このとき、ヤスリを使って穴の周りのバリを丁寧に取り除くようにします。また、出来上がった絞り板にはつや消しの黒い塗装をしておきます。これをレンズをのせる部分に接着剤ではりつけてから前部を組み立て直します。これで、絞り改造版の完成です。最後に、光線漏れが気になる場所に製本用テープを貼付けておきます。

撮りっきりコニカ超Miniその3


(詰め替え)


 このカメラのもうひとつの問題は、フィルムの詰め替えが難しいことです。コニカのレンズ付きフィルムの多くは通常の35mmパトローネを使っているので、ダークバックの中で、パトローネから新品のフィルムを出してスプールに巻きとり、それをカメラにそっとセットすれば、簡単に詰め替えができます。しかし、このカメラは、店頭では市販されていない細身の「ミニパトローネ」を使っているため、替えのフィルムが手に入りません。そこで、この問題を解決するために、以下の方法を考えだしました。
 カメラの裏面をドライバーで外すと、フィルムを巻き取ったミニパトローネと購入時にフィルムを巻き付けてあった「フィルム装填用スプール」が出てきます。
 まず、このカメラに入っているミニパトローネをフィルムオープナーか栓抜き器により分解します。パトローネを完全に分解すると、「パトローネの中のスプール」、「パトローネの上のふた(円盤状の上蓋)」と「下のふた(円盤状の下蓋)」、及び、「パトローネを取り巻く金属版」の4つになります。その中から、パトローネを取り巻く金属板のみを取り除き、スプールの上部にパトローネの上蓋を、スプールの下部にパトローネの下蓋を接着剤で直接固定してしまいます。これで「フィルム巻き取り用スプール」の完成です(以下の写真を参照)。

撮りっきりコニカ超Miniスミニパトローネ

 次に、新品の35mmフィルムを用意します。まず、パトローネから外に出ているフィルムの先端をまっすぐに切って本の編集用テープで、先ほど作ったフィルム巻き取り用スプールに貼付けます。

撮りっきりコニカ超Miniスプール

 ここから先はダークバックの中での作業です。まず、新品のフィルムパトローネを分解し、フィルムを全て引き出して、スプールからも外します。パトローネを暗室で分解するのは大変ですが、ワンタッチパトローネなら、簡単にフィルムを取り出すことができます。このときも、フィルムの端は自作のフィルム巻き取り用スプールに貼付けたままです。次に、フィルム装填用スプールにフィルムをきつく巻き付けます。コニカのフィルム装填用スプールは優れもので、簡単にフィルムを引っ掛けて巻き付けることができます。全てを巻き付けると、装填フィルム一式(フィルム装填用スプールにフィルムが巻き付けられ、フィルム巻き取り用の自作のスプールに反対側の端が貼付けられたもの)が完成です。下の写真では、左側の白いスプールがフィルム装填用スプール、右の黒いスプールがフィルム巻き取り用スプールです。

撮りっきりコニカ超Mini自作スプールと巻き取り用スプール

 次に、この装填フィルム一式を、下の写真のように、本体にそっと入れます。その前に、本体のフィルムカウンターを24枚のあたりに戻してシャッターをチャージしてから一度シャッターを切っておくと、後の装填がスムーズに行きます。フィルムがはじけずに装填するためには、まずフィルム装填用のスプールを裏面から見て左にあるフィルム装填室にセットし、次に、フィルム巻き取り用のスプールを右側のフィルム巻き取り室にセットするようにします。そして、それぞれのスプールがしっかりと装填されているか、および、フィルムのパーフォレーションがシャッターチャージ用のギアにしっかりとかみ合っているかを指先で確認します。自信がない場合には、明るい場所で何度も練習してから、暗室での装填にチャレンジします。うまくいったら、裏蓋をそっと閉めて、裏蓋と本体の接触面を黒のプラスチックテープか黒のパーマセルテープで塞いでおきます。
 撮影後は、やはりダークバックの中で本体の裏蓋を外し、中のフィルムをワンタッチパトローネに巻き取った後で、現像に出します。自分で現像するなら、ダークバックの中で、フィルムを直接現像用リールに移せばよいでしょう。以上の作業をダークバック内でスムーズに行うためには、裏蓋を止める爪の一部を微妙に削ることにより、ドラーバーで一カ所をあけるだけで裏蓋が開くようにしておく必要があります。

撮りっきりコニカ超Mini詰め替え


(描写と作品)


 実は、このような改造に凝っていたのは90年代の終わり頃でした。その後、仕事が忙しくなったため、本格的な試写を行えたのは、改造から数年以上も経ってからでした。その間に、世の中はデジカメ一色になってしまいました。しかし、このカメラで撮影したフィルム写真を見たたときは、自画自賛ではありますが、本当に驚きました。改造前よりも遥かにきりっとした描写で、条件によっては、最近のコンデジにも負けない描写をすることさえあります。レンズ構成が1枚のためか、さすがに周辺部での画像の流れは大きいようです。しかし、画面の構図を工夫すれば十分に使えます。いまは、このカメラをポケットに入れて、いつでもどこでも撮影を楽しんでいます。





(撮りっきりコニカ超Miniの作品・作例)



・撮りっきりコニカ超Mini(改造版)作品ギャラリ−1 2008.11.20

・撮りっきりコニカ超Mini(改造版)作品ギャラリ−2 2009.1.30

・撮りっきりコニカ超Mini(改造版)作品ギャラリ−3 2009.2.19

・撮りっきりコニカ超Mini(改造版)作品ギャラリ−4 2009.2.27


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