モノクロフィルムの自家現像はとても簡単です。最初は失敗するかもしれません。しかし、何回か練習すれば、だれでも、アナログ写真の奥深い世界を堪能することが出来るようになります。ここでは、まず、どのような道具を取り揃えたらよいか、について解説します。他のサイトとは異なり、できるだけ費用をかけず、楽しみながら、簡単に、そろえる方法を紹介します。
まずは、最低限として、以下のものをそろえましょう。ただし、本人や家族の方が薬品などを誤って飲んだり触れたりすることのないように、ペットボトル、計量カップ、温度計など、全ての用具は現像専用として、家族や子供などの手の届かない所に、厳重に保管しなければなりません。
1. ペットボトル(2000mlのもの4本、350mlのもの2本、無料)
現像では、現像液、停止液、定着液、及び、水滴防止液という4つの薬剤を使います。これらの薬品を溶かしたものを保存しておくために、2リットルのペットボトルを4つ用意します。ミネラルウォーターの空ペットボトルをよく濯いで使えばよいでしょう。本当は、遮光性の高いボトルが良いのですが、暗所に保管するのであれば、どんなものでも問題ないようです(自分の場合は、最初、昆布つゆのボトルを使ったために、フィルムが昆布臭くなり、閉口しました)。また、現像液や定着液を繰り返し使うために、フィルム現像タンクと同じくらいの容量のペットボトル(フィルムや現像タンクがフィルム1本用なら350m程度のもの)を2つ用意します。これらの容器は次第に汚れてくるので、沢山用意しておくと良いでしょう。
2. 計量カップ(300cc、及び、50ccをはかれるもの,100円程度)
薬品を溶かすのに、計量カップが必要です。300ml程度をはかれるものを用意しましょう。
3. 温度計
ペットボトルの現像液の温度を厳密に測る必要があります。そのため、ペットボトルの底まで届く長さの温度計を買います。ホームセンターで500円程度だと思います。
4. フィルム現像タンク(6000円程度)とタンクリール(2500円程度)
フィルム現像タンクは、35mm フィルム1本用を買うとよいでしょう。また、35mmフィルム用のタンクリールも必要です。LPLのタンクリールが巻き取りの失敗が少なくて気に入っています。
フィルム現像タンクとタンクリール
5. ダークバッグ(完全暗室がある場合は不要です)
現像では、フィルムをパトローネから出し、それをタンクリールに巻き取り、次に、それをフィルム現像タンクに入れてふたをする、という作業が必要です。これらの作業は完全暗室で行わなければなりません。完全暗室がない場合には、ダークバッグ(またはチェンジバッグ)という、セーターの袖にゴムを入れたようなバッグが必要になります。これは、大きなものでも2500円程度です。
ダークバッグ
6. フィルム・ピッカー、栓抜き、はさみなど
フィルム・パトローネからフィルムの端を引き出す作業が必要なときは、フィルム・ピッカーを使います。これは、1300円程度です。ただし、慣れてくるとダークバックの中で直接パトローネを分解することが出来るようになります。その場合は、フィルム・ピッカーは必要ありません。しかし、何かのトラブルが起きたときに重宝しますので、ひとつ持っていると良いでしょう。
市販のフィルム・パトローネ自体を暗所であける必要があるとき(フィルム・ピッカーでフィルムの端をうまく引き出せないときなど)には、栓抜きを使います。専用のものを使ってもよいのですが、普通の栓抜きでもなんとか開ける事ができます。また、簡単に分解できるワンタッチ・パトローネを使っている場合には、栓抜きは不要です。
パトローネから取り出したフィルムのリーダー部分を切るときや、スプールからフィルムを切り離すときに、はさみが必要になります。暗所での作業なので、使い方を間違えたとしても怪我をしないように、安全なはさみを用意します。なお、ワンタッチパトローネを使い、フィルムをスプールに固定するときに、手で簡単に切ることのできる製本テープを使っているのであれば、スプールに取り付けられていた方のフィルムの端をタンクリールにつければよいので、はさみを使うことは全くありません。
フィルム・ピッカー(左)とフィルム用栓抜き(右上)
7. フォトスポンジとフィルムクリップ
現像したフィルムを乾かすときに、フォトスポンジ(500円くらい)で水を切っておくと、きれいに乾燥することができます。また、フィルムクリップでとめて乾かすとまっすぐに仕上がります。これは、重めの洗濯バサミかマグネットクリップなどで、十分に代用できます。
ということで、12000円もあれば、最低限をそろえることができます。これらを、仕事帰りなどに、わくわくしながら、少しずつ買い集めたことを覚えています。