撮りっきりコニカもっとMiniフラッシュタイプ(絞り改造版)


(性能)


 1993年11月に、コニカから発売されたレンズ付きフィルムです.コニカがレンズ付きフィルムの最軽量を奪還した記念すべき商品です.それ以前に発売されていた「撮りっきりコニカMini」も,薄手化されたフィルムと小型パトローネの採用により,サイズは108 mm x 59 mm x 24 mm ,重さは120g まで小型軽量化されていました.この商品では,本体サイズのさらなる小型化とプラスチック材料のより一層の肉薄化が行われました.その結果、サイズは105mm x 54mm x 22mmまで小さくなり、重さも106gまで軽くなりました.ちなみに,フラッシュなしタイプも発売され,サイズは91 mm x 54 mm x 23 mm,重さは63gという,当時としては驚異的なスペックでした.
 その後,1995年にはサイレント巻き上げ技術が投入され,巻き上げ時のカリカリという音がなくなりました.これは、巻き上げ部分に取り付けられた特殊な形状をした円盤により、巻き上げの力が加わったときだけ、逆周り防止の爪を浮かせるという,画期的な技術でした。また,白黒プリント専用タイプやセピアプリント専用タイプなどもラインアップされ,1997年に後継機種である超Miniシリーズが出るまでは,レンズ付きフィルム市場の人気者でした.下の写真は,1995年頃に発売された白黒プリント専用フラッシュ付きタイプです.

撮りっきりコニカもっとMiniその1

撮りっきりコニカもっとMiniその2

  自分がコニカのレンズ付きフィルムに魅了されたのは,このカメラが最初でした.当時何に心を惹かれたのかは,はっきりと覚えていません.多分,驚くほど薄くて軽いこのカメラを手にした瞬間に,小型軽量化に燃える設計者の熱意のようなものを無意識に感じたのではないかと思います.今,手元には,分解と組み立ての繰り返しによりボロボロになった2個の本体が残っています.それらを見ていると,このカメラと過ごした日々が懐かしくよみがえってきます.
 残念ながら、このカメラの仕様については正確な記録がありません.おそらく,焦点距離は30mm、シャッタースピードは1/100秒、絞りはF10程度ではないかと思われます(ISO400 を入れたときの露出値は11くらいでしょう).レンズは1群1枚構成の単純なものですが,プラスチックレンズに特有の,明るくてスッキリとした写りを楽しむことができます.また、本体の作りは堅牢で,いまだに一度も故障したことがありません.


(詰め替えと改造)


  このカメラはミニパトローネを使っているため,最初は詰め替えがなかなかうまくいかず、悪戦苦闘するはめになりました.途中,何度も失敗して,フィルムもかなり無駄にしました。しかし、最後には、ミニパトローネから「フィルム巻き取り用スプール」を作る,という手法になんとか辿り着くことができました. ですから,その後「超Miniシリーズ」が出たときには,この手法を使ってすぐに詰め替えることが出来ました.
 ということで、このサイトの「撮りっきりコニカ超Mini」のページで作り方を紹介している「フィルム巻き取り用スプール」を使えば,このカメラも詰め替えができます.ただし、超Miniと同じように、ワンタッチパトローネやダークバックを使って,少し面倒な手続きを踏まなければなりません.
 詰め替えに成功したら,紙製のカバーは取り除いて,前面と裏面には黒い編集用テープをはります.ちなみに,電池を抜いてフィルムを詰め替えれば,なんと74gまで減量できます.カバーを取ったときに現れる、薄さを強調したクールなデザインは,今でも見るものの心を痺れさせます.

撮りっきりコニカもっとMiniその3

 また,他のレンズ付きフィルムと同様,レンズと本体の間に1.1mmから1.2mm程度の円い穴を開けた絞り板を貼付ければ,被写界深度を改善した,絞り改造版を作ることもできます.ただし、詰め替えや改造はフラッシュ部分の高圧電流に感電する危険があるので、このサイトでは詰め替えや改造をおすすめすることはできません.


(描写と作品)


 1990年代の後半には,このカメラで沢山のスナップを撮りました.こんなカメラだと,撮られる人も思わず表情が緩んでしまうので,人生を支えてくれるカメラになりました.その後,勤務先が変わり,街の風景を撮るようになりました.このカメラのおかげで,毎日仕事に追いかけ回されているときでも,他のことを考える余裕を持つことができました.今でも,この小さなオンボロをそっと握り締めると,何故か心が安らぎます.
 このカメラは,乾いて落ち着いた描写力が特徴で,特に晴天でのスナップが明るくてきれいです.また,周辺部が流れて中心部が高解像度に写る性質を活用して,昔のボルタ版カメラで撮ったような,懐かしい映像を作ることもできます.出来上がった銀塩写真を見ていると,どんなに苦しいときに撮った写真も、あっという間に懐かしい写真になるのだ,ということを,そっと耳打ちしてくれているような気がします.





(撮りっきりコニカもっとMiniの作品・作例)



・撮りっきりコニカもっとMini(改造版)作品ギャラリ−1 2009.4.15



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