オリンパスOM-1の性能/描写/作品/中古/使い方


(特徴/性能/使い方)


 1972年にオリンパスから発売された小型・軽量・高性能を誇る一眼レフです。オリンパス関係の書籍によると、当初は開発者のイニシャルのMからとった、M-1という名前でしたが、Mシリーズを発売していたライカからのクレームにより、1973年からOM-1に改名された、ということでした。
 このカメラは、当時としては信じられないほどの小型化を実現していました。実際、現在のデジタル一眼レフと比べても、小さいように感じられます。それでいて、ミラーやマウント等の内部光学系は、驚くほど大きく設計されています。これにより、自由度の高いレンズ設計が可能にされたのでしょう。実際、当時のOMシステムには、小型・軽量・高性能のレンズが目白押しでした。
 一方、発売当時は軽量を誇ったとはいえ、今手に取ってみると、かなりずっしりとした重みを感じます。試しに、手元にある数台のOM-1の重さを測ったところ、初期の個体で490g程度、後期の個体で510g程度でした。これらの数値は、現在の感覚からいうと、決して軽量とは言えません。しかし、この頃の一眼レフの重厚長大ぶりを考えると、当時としては画期的な軽さでした。
 このカメラの魅力のひとつは、ファインダーの見やすさにあります。視野率は97%、倍率は50mm装着時で0.92という驚異的な性能です。これくらい大きなファインダーであれば、大きく引き延ばしたときの仕上がりをあれこれと想像しながら、じっくりと構図を組み立てることができます。
 さらに、ペンタプリズムに反射率の高い銀蒸着を用いたり、ミラーに多層幕のコーティングを施すことで、かなり明るいファインダーが実現されています。多少の経年劣化もなんのその、ファインダーをのぞいたときに見える画像は今でもすっきりとしていて、見ているだけで、写真をとるのが楽しくなります。
 また、巻き上げレバーは、とても操作しやすい形に設計されており、親指で巻き上げると、フィルムと布幕がジーと巻き上げられ、シャッターがカチャリとチャージされる感覚が指先に伝わり、撮影者の緊張を高めます。
 そして、なんといってもこのカメラの最大の魅力は、シャッター感覚の心地よさです。初めてシャッターを切ったときは、そのショックがあまりに柔らかくて驚きました。加えて、ボタンの押し込みの深さやシャッターが切れる際のラグも絶妙です。シャッターをゆっくりと押し込んでいくと、シャッター幕が心地よく開放される感覚が指先に伝わり、直後に布幕が「クシュン」という柔らかい音を立てて走行します。どんなに疲れていても、就寝前にベッドの中で空のシャッターを切ると、不思議と心が落ち着きます。
 このカメラのもうひとつの大きな特徴は、そのデザイン性の高さです。三角形のデルタの形(Δ)を多用したデルタ・デザインと呼ばれるその外観には、精緻さと上品さを兼ね備えた気品があります。中でも、初期の個体のメッキは特にすばらしく、発売から40年以上経過した現在でも、高貴な輝きを保っています。上手に整備され、丁寧に磨かれた本体が放つ存在感は、もはや工芸品の域に達していると言っても過言ではありません。

オリンパスOM-1

 ファインダー内に表示される露出計は、単純な指針式です。ですから、露出が次々に変化する動体を連続して撮影するような用途には、あまり適していません。しかし、あれこれと考えながら1枚の写真にたっぷりと時間を掛けて撮る場合は、そっけない指針式の方がかえって被写体に集中できるように感じます。
 また、シャッタースピードの設定リングが、絞りと並んでレンズ鏡胴上に配置されています。そのため、慣れてくると、ファインダーをのぞく前に絞りとシャッターの設定値を暗記しておき、ファインダー内の露出計を見ながら手探りで2つの設定値を変える操作が、自然に身に付きます。不思議なことに、他の場面では年齢的に記憶の衰えを実感することが多くなってきたにも関わらず、このカメラで撮った写真については、何故か絞りとスピードの設定値を後で思い出せることが多いように感じます。そんなこともあって、「撮る」という行為をじっくり楽しみたい時には、この名機を持ち出すことが多くなりました。





重量 490g - 510g
大きさ 136mm×83mm×50mm
マウント

オリンパスOMマウント

ピント方式 マニュアルフォーカス
露出制御

マニュアル、中央重点測光
制御範囲:EV2-17

シャッター

機械制御式横走り布幕フォーカルプレイン
1〜1/1000秒, B

ファインダー

アイレベル固定式
視野率97%
倍率0.92倍
スクリーン交換式

ストロボ 内蔵ストロボなし
電池 H−D型 1個
フィルム送り 手動巻き上げ
メーカー オリンパス
発売日 1972年
発売価格 50,000円



 OM-1のことは、発売当初から知っていました。しかし、長い間ペンタックス・リコー党だったこともあり、なかなか購入には至りませんでした。結局、ジャンク扱いのOM-1を初めて購入するに至ったのは、発売から40年近くが経った2010年頃のことでした。
 合わせてレンズもいくつか入手しましたが、どれも個性的で魅力的なものばかりでした。特に、最初に入手した24mmF2.8と28mmF3.5の描写はすばらしく、生涯手放せないレンズとなりました。その一方で、OM-1の本体については、残念ながら、市場では経年劣化の激しい個体ばかりが目につくようです。幸い、数多くのサイトで、OM-1の有用なレストア情報が紹介されています。自分も、日本が世界に誇るこの名機のレストア情報をいつかアップできたら、と思っています。


OM-1 + ズイコー24mmF2.8の作品・作例



ズイコー24mmF2.8の作品ギャラリー1


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