2002年頃にコニカから発売されたレンズ付きフィルムです。その特徴は17mmという超広角レンズにあります。一般に、広角レンズは構図を決めるのが難しく、また、広い映像を狭い写真に閉じ込めるために、大きな歪みが生じます。ですから、極端な広角は、スナップ撮影には向きません。しかし、「作品作り」という観点から見ると、広角は、様々な構図を作る余地が大きいとも言えます。これまでは、広角を楽しみたい場合には一眼レフやレンジファインダー用の高価なレンズを購入しなければなりませんでした。しかし、このカメラのおかげで、誰でも広角にチャレンジすることができるようになりました。
実は、2000年ごろに職場や職務内容が大きく変わったこともあり、しばらくの間写真から遠ざかっていました。その間に,この傑作カメラが発売されていたのです。しかし、そのころは発売されたことすら知りませんでした。その後、2008年頃から、またフィルムカメラを始めようという気持ちがわいてきました。ある日、ネットでレンズ付きフィルムのことをいろいろ調べていて、その存在を知りました。そのスペックを知ってからは、どうしても入手したくなり、色々捜したのですが、残念ながら、どこにも見当たりませんでした。
ところが、2008年6月に、たまたま立ち寄ったビレッジバンガードに、このカメラが4台まとめて置いてあったのです。慌てて全て購入しましたが、そのときのうれしさは、今でも忘れません。その後、8月にもう一度立ち寄ったときに、なぜかもう1台が置いてありましたので、それもすぐに買いました。ということで、遅ればせながら、2008年の夏から、5台のwaiwaiワイドで超広角の世界を楽しめるようになりました。
絞りはF11、シャッターは1/100秒ですから、このままで、遠景までピントのあった撮影が楽しめます。また、大きさは実測で135mmx54mmx40mmくらい、重さは114グラム程度ありますが、不要な部品や電池を外し、ワンタッチパトローネに入れた軽量のフィルムに詰め替えれば、大きさは100mmx54mmx34mmくらい、重さは82g程度まで落とすことができます。これなら、いつでもポケットに入れて持ち歩くことができます。
重量 | 114g(改造後82g) |
大きさ | 135mmx54mmx40mm 改造後100mmx54mmx34mm |
レンズ |
2群2枚プラスチックレンズ17mm 1:11 |
絞り | F11固定 |
焦点距離 |
撮影距離:0.45m-∞ |
シャッター |
形式:クランク形状の金属シャッター羽根 |
ファインダー |
3群3枚逆ガリレオ式 |
ストロボ | 内蔵固定方式 周辺部の光量が多い配光特性を持つ超広角フラッシュ (フロントパネルにフレネル形状を採用) 撮影可能距離範囲 0.40-2.5m(ISO800) |
電池 | 単四電池1個 |
メーカー | コニカ |
発売日 | 2002年9月 |
発売価格 | 1,600円 |
このカメラの外部には、自分の指が写り込むことを防ぐための部品が取り付けられています。これがないと、しばしば自分の指が写ってしまいます。しかし、持ち歩きやすさを優先して、それらは全て外します。また、自分自身を撮影するためのミラーや内部の電池もとってしまします。あとは、光線漏れの不安がある場所やデザイン的に気に入らない場所に製本テープを張れば、最強のライトカメラの完成です。
このカメラには、フラッシュが内蔵されているので、フィルムの詰め替えには何百ボルトもの電気に感電する危険が伴います。これほど強い感電は、生命の危険をもたらします。また、フィルムの詰め替えは特許侵害の恐れもあります。ですから、このサイトではフィルムの詰め替えをおすすめすることはできません。また、通常の35mmフィルムパトローネを使っているにもかかわらず、詰め替えはかなりの確率で失敗します。
失敗の理由を調べた所、2つの原因にたどり着きました。ひとつは、フィルムのパーフォレーションがシャッターチャージ用のギアにしっかりとかみ合っていることを確認して装填したつもりでも、裏蓋を閉めるときに巻き取ったフィルムがはじけてしまい、パーフォレーションがギアからはずれてしまうためです。
もう一つの原因は、サイレント仕様のフィルム巻き上げ機構が柔らかいプラスチックでできているために、装填中に巻き上げ関係の部品がずれるためです。
そこで、これら2つを解決するために、以下の方法を考案しました。それは、「装填フィルム一式(新しいパトローネからフィルムを引き出してフィルム装填用スプールに巻き付けたもの)」を安定して装填するために、フィルム装填用スプールにフィルムストッパーをつける方法です(以下の写真を参照)。ストッパーは、撮りっきりコニカ超Miniに入っていた細身の見にパトローネの外側の金属版を切ってヤスリで縁を丁寧に削って作りました。ミニパトローネがない場合には、通常の35mmパトローネから1cmx6cmくらいの大きさの金属版を切り出して自作することもできます。フィルムに触る所にはフィルムを保護する素材が使われていますので、それをそのまま使います。
1. 底面の小さい蓋を外す.
2. 背面から見て右の側面にある
二つの爪を外す.
3. 底面の右の爪を外す.
4. 底面の左の爪を外す.
5. 背面から見て左の側面の爪を
外す.
6. 分解終わり.
ストッパー
装填の様子
このストッパーをつけるだけで、詰め替えの失敗はほとんどなくなりました。コツは、先にパトローネをそっと装着し、次に、ストッパーでとめた装填用スプールを左側の装填室にそっと入れてやるところにあります。ただし、ストッパーの厚みがあるので装填できるのは24枚撮りフィルムまでです。また、ストッパーのフィルム保護の素材から小さいゴミが出ますので、装填時にはストッパーやカメラ内部の掃除を毎回行う必要があります。
このカメラのレンズのすばらしさは、すでにあちこちで報告されています。周辺まで流れない解像力、微妙な階調まで再現する絵画のような表現力など、まさに驚くことばかりです。最近では、このカメラから取り出したと思われるプラスチックレンズをライカマウント用に改造したものさえ売られているようです。その一方で、この画角とこの描写力を使いこなすには、かなりの練習が必要です。今は、3台のWaiWaiワイドに,ISO100, 400, 1600のフィルムを入れて、必要に応じて使い分けています。これからしばらくは、このカメラで銀塩写真の奥深い世界を楽しもうと思っています。